西の国から東の国、北の国から南の国を旅するように。
そうすると、いろんな国に暮らす人々の歩き方から鼓動まで、
今日も世界中でお喋りをしているみんなの声に触れられる。
だれかの呼吸に寄り添って、わたしは息を自由にする。
体は時間に運ばれるのをたのしみ、メロディと言葉は踊りだす。
自分が差しだせるあらゆるものを丁寧に。
何もないなんて言わないで。
体をひらいて、耳をひらいて、声をひらいて心をかぎりに伝えてみる。
そうすると、今ここにいる意味が見えてくる。
ひたむきに咲く花のように、静かに流れる川のように、
だれかのために呼吸を運んで、わたしもこうして生きているんだ。
尾てい骨から頭のてっぺんまで、ひとつひとつをメンテナンスして。
そうすると、首も肩もよく動く。腰だって柔らかくなる。
全身の気の巡りが良くなって、新しい音が聴こえてくる。
笛の音から弦の音、太陽の音から月の音、
風の音から光の音、わたしの音からあなたの音まで。
元気なときから落ち込んだときまで、わたしの心と向き合ってみる。
そうすると、元気なときには張りのある声が出て、
落ち込んだときには緩んだ声がするのだと、
当たり前に思える様な自然のしくみを思い出す。
どちらがいいかわるいかじゃなくて、
どちらもあるのが、生まれたままの自分だということ。